道元禅師が示したこと——「ただ坐ること」の深さ
大本山永平寺を開いた道元禅師は、「ただ坐る」ということを徹底して大切にされました。
特別な体験を求めるのでもなく、複雑な理論に頼るのでもなく、まずは静かに坐る。その実践そのものが仏道である、というのが道元禅師の示された道です。
一見すると、とても簡素な教えです。
しかし、その簡素さの中にこそ深さがあります。
ただ坐るということは、何かを付け加えることではありません。むしろ、あれこれと求め続ける心をひとたび静め、今ここにある自分をそのまま見つめることです。
坐禅の中では、自分の思い通りにならない心や身体に出会います。落ち着かない自分、集中できない自分、つい考え込んでしまう自分。そうしたありのままに向き合うことが、実は深い学びになります。
道元禅師の教えは、難しい人のためのものではありません。
誰でも坐ることができる。 だからこそ、誰にでも開かれている。
ただ坐ることの中に、人生を整える入口があります。静かに坐る一刻が、心の姿をそのまま映し出してくれるのです。
合掌