形と心——大切なのはどちらか
仏道では、形を大切にします。
合掌のしかた、坐る姿勢、歩き方、言葉づかい。そうした一つひとつの作法には、長く受け継がれてきた意味があります。
けれども、形だけが整っていればよいわけではありません。
本当に大切なのは、その形を通して、心がどう整えられていくかということです。
たとえば、姿勢よく坐っていても、その時間の中で自分の心がどのように乱れ、どのように静まっていくのかに気づかなければ、修行は表面だけのものになってしまいます。
逆に、完璧ではない姿勢であっても、「今、自分は焦っている」「今、自分は落ち着きを取り戻しつつある」と気づけるなら、その時間は深い意味を持ちます。
永平寺では、作務も食事も修行とされます。それは、何をしているか以上に、その時の心の在り方が大切だからです。
形を軽んじてよいわけではありません。 しかし、形は心を育てるための器です。
器の美しさだけで満足せず、その中に何が育っているのかを見つめていきたいものです。
合掌